7一般措置不要なしその1 〜暦年課税(暦年贈与)の利用〜 ※年齢制限:特になし年間110万円までの基礎控除額(無税部分)を利用して計画的に株の贈与を行う方法です。 :息の長い持ち株異動対策として有効です。時に一部有税での贈与を行う場合もあります。その2 〜相続時精算課税の利用〜 ※年齢制限:60歳以上から18歳以上への贈与 総額2,500万円■の特別控除額(2,500万円を超えた分については一律20%課税)を利用して後継者(子や孫)に持ち株を贈与し、相続時に改めて相続財産と合算して税を精算する方法です。(贈与時の評価額がそのまま生きます)(選択後は同じ人からの贈与を暦年贈与に変更できません) :将来にわたる価値の上昇が自社株に見込まれるので今評価を固定しておきたいケース、もしくは相続税がかからないと見込まれるので先に株を譲っておきたいケース等に有効です。その3 〜特例事業承継税制の利用〜 ※年齢制限:60歳以上から18歳以上への贈与 令和9年12月31日までの持ち株の贈与・相続に係る税が100%猶予される事業承継税制の特例措置が時限措置として設けられています。事前に事業承継計画を提出することが義務付けられていますが、提出期限が今年の3月から2年延長され、令和8年3月31日までとなりました。 特例措置は一般措置に比して有利な内容になっており、後継者に課される雇用確保(5年間8割)や事業継続(5年間株を売らず代表を務める)等の厳しい要件が一部緩和されています。 計画提出期限の延長により今からの計画提出も可能ですので、自社株高に悩まれている場合の選択肢としてご検討下さい。なお、計画を出しても贈与等の実行は義務付けられてはいません。 「シン」「ジセダイ」「シンカ」など、カタカナで「先」を語る表現をメディアで最近目にするようになりました。企業においても、新陳代謝をしつつ進化し続けることは大きな課題の一つですが、一方、変わり続けるだけではなくて守るべきものを守り抜くのも大きな使命の一つとなります。 そこで今回は、同族会社を前提としたジセダイ、親族間の事業承継について持ち株の異動に的を絞って税制面から確認していきたいと思います。※計画の提出先は会社の主たる事務所が所在する都道府県(長野県;産業労働部)になります。※贈与実行の際には「後継者は役員就任後3年以上経過」「会社の代表権が完全に譲られていること」等の事前準備が必要なものもありますので、詳しい条件は国税庁もしくは中小企業庁のホームページでご確認下さい。※代表者の完全交代、株の一括贈与等は、一気にやるのはなかなか悩ましい面もありますが、先代が実質経営に関与したままですと役員退職金の損金性を否認されたり、株を残そうとすると一括贈与要件を満たせなかったりというリスクも出てきますので、タイムスケジュールを組んで慎重に計画する必要があります。★暦年課税と相続時精算課税のどちらを選択するかは、課税資産全体の状況を相続時まで俯瞰したうえで有利不利を都度判断する必要があります。 ・先代の役員退職金支給等で自社株の評価が大きく下がる時期を利用して株を贈与するとき ・下記の特例事業承継と併用可なので、取り消し事由に該当した際のリスクヘッジのため贈与税や相続税の影響を見比べて選択するとき★なお、暦年課税と相続時精算課税について、 暦 年 課 税 : 相続財産への■及加算年数の延長:3年から7年へ段階的に延長 相続時精算課税 : 2,500万円の特別控除とは別枠で、年間110万円の基礎控除を新設 など、令和5年度に大幅な税制改正が行われていますので、詳細につきましては「すわほうじん」第155号、156号の「税理士会コーナー」で今一度ご確認下さい。計画提出期限:延長適用期限:延長なし(今後も延長なし)対象株数納税猶予割合すわほうじん 第161号 令和6年8月1日発行特例措置(時限措置)特例承継計画の提出令和8年3月31日まで次の期間の贈与・相続等令和9年12月31日まで全株式100%関東信越税理士会諏訪支部税理士 関村 聡子総株式数の最大3分の2まで贈与:100% 相続:80%〈次世代への持ち株のバトンタッチ 持ち株対策〉税理士会コーナー知って納得!教えて税理士さん!
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