すわほうじん159号
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例9【どのようなデータの保存が必要か?】■インターネット取引や電子メール等で授受する注文書・契約書・送り状・領収書・【どのように保存する必要があるか?】以下の①可視性の確保と②真実性の確保を満たす必要があります。 令和6年1月1日から電子取引データの保存が必須になります。本制度はもともと令和4年1月1日から適用される予定でしたが、令和4年度税制改正で措置された宥恕措置により、令和5年12月31日までに行う電子取引についてはプリントアウトして保存して差し支えないとされていました。この宥恕措置が令和5年12月31日で廃止となるため、令和6年1月1日からは電子取引データの保存が必須になり、プリントアウトした書面のみ保存するということは認められません。 一足早く始まったインボイス制度への対応に追われ、電子取引データ保存への対応はまだこれから、という事業者の方々も多いのではないでしょうか。そこで今回は、電子取引データ保存の適用対象となるデータや、どのように保存すればよいのかについて、専用のシステムを導入せずに対応する方法を確認していきます。見積書・請求書などのデータを、電子データのまま保存する必要があります。■あくまでデータでやりとりしたものが対象であり、紙面(郵送など)でやりとりしたものをデータ化しなければならない訳ではありません。■受け取った場合だけでなく、送った場合にも保存する必要があります。①可視性の確保■パソコンやディスプレイ、プリンタ等とこれらの操作マニュアルを備え付ける。■日付・金額・取引先で検索できる状態で保存する。(検索要件の充足) 検索要件を満たす方法として、例えば、データのファイル名に規則性をもって「日付・金額・取引先」を入力して特定のフォルダに集約し、電子取引データのダウンロードの求めがあった場合に応じることができるようにしておく方法があります。②真実性の確保■不当な訂正削除の防止に関する事務処理規程を制定し、遵守する。 事務処理規程のサンプルは国税庁ホームページに掲載されていますので、これを参考にして作成することができます。 ここまで電子取引データ保存の適用対象となるデータや保存の方法について確認しましたが、保存方法の①可視性の確保の中の「検索要件の充足」が実務上負担になると思われます。 そこで令和5年度税制改正において、以下のいずれかに該当する場合で、電子取引データのダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合は、「検索要件の充足」は不要となりました。■基準期間(2課税年度前)の売上高が5,000万円以下の方■電子取引データをプリントアウトして日付及び取引先ごとに整理されている方 ただしこの場合も、電子取引データのダウンロードの求めに応じることができるようにしている必要があるため、電子取引データの保存は必須であるという点、注意が必要です。  詳しくは国税庁特設サイトをご参照ください。 2024年3月31日に㈱霞商店から110,000円の品物を仕入れ、請求書をメールで受け取った場合→ファイル名を「20240331_110000_㈱霞商店.pdf」として保存します。すわほうじん 第159号 令和6年2月1日発行関東信越税理士会諏訪支部税理士 中澤 克幸令和6年1月から電子取引データの保存が必須になります税理士会コーナー知って納得!教えて税理士さん!

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